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Shining wind~道標になるために~

その力は俺を選んだ  何も出来なかったと嘆いていた俺に使命を与えた  俺に何が出来るのか今はわからない   だけど進もう  護るべき者の道標となるために・・・

流星~星降る夜を共に~

星が降る
思いを寄せる人へと
受け止められるか否かはその星次第
見事に受け止められ
その人の心で輝き続けることを願って
また一つ、星が降った


「見事な星空だ。子供の頃に見た空と似ている」
夜空を見上げた俺の第一声
その声に頷いて、ふんわりと言葉が返ってくる
「風樹くんは素敵な思い出を持っているのね」
声の主はルル=メイ。クラブ『Another Sky』での後輩だ
「私は遮る物の無い星空を見るのは初めてなの」
少し驚きつつ、でも楽しそうにほほ笑む彼女を見て俺も微笑む
星空を、そして流星を隣にいる彼女と見る事が出来るのがとても嬉しいから…
「寒くないか?この時期は風邪をひきやすいから暖かくしておかないとな」
と、用意してきた大きめのショールをそっと彼女の肩に。
すると、そのお礼にとホットミルクティをカップに入れ渡してくれる。
その味は、優しい甘さで安心できる暖かさだ。
(どのくらいぶりだろうか?こんなに落ち着いて夜空を見上げるのは…)


「横に三ツ星が並んでるのが分かるかい?」
流星が見えるまで、濃紺のキャンパスに輝く星座達の説明をする
「それを中心にして砂時計の形に見えるのが、前に話したオリオン座だ。」
オリオン座には1等星と呼ばれる赤と白の明るい星が2つあり、名前はペテルギウスとリゲル。
日本では、赤いペテルギウスを『平家星』白のリゲルを『源氏星』と呼んでいた
「その他に仲のいい双子の兄弟、カストルとポルックスのふたご座、二つの星団を持った牡牛座、少し北には…」
俺の指先を見ながら話を聞いているルルの顔は一生懸命だ
「風樹くんが一緒だと、夜空のお散歩で迷子にならないわね」
微笑みながらそう言う彼女に
「あぁ、俺と一緒に星空ツアーに来てる人は誰一人と迷子にしないよ」
どんな所にいても、必ず探し出すからね。と、俺も微笑む。
するとその瞬間、すっと一筋の光…
「お、流れ始めた。見えたかい?」
え?と、夜空を見上げてきょろきょろする彼女
「東からもう一つ、ほら!」
「あ…!見えた…っ」
掴めないとわかっていても思わず手を伸ばしている彼女に、ふっと微笑んで
「今のは明るかったな」
「素敵…何だか幻みたいね」
「ん、天界からの贈り物のようだ」


それからも暫くの間、流星は流れた
「貴重な体験をありがとう、風樹くん」
嬉しそうに話す彼女を見ながら、俺は頷いた
その時、目の前を流れた星にそっと心でつぶやく
(またこうして星空を二人で見上げることができるように…)


星の嫁入りとも言われる流星に願いを込めて……

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