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その力は俺を選んだ 何も出来なかったと嘆いていた俺に使命を与えた 俺に何が出来るのか今はわからない だけど進もう 護るべき者の道標となるために・・・
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2月14日。
街中に甘い香りが漂う日、だ
「ふうき~!はい、私から『あいじょう』いっぱいのチョコレート♪」
寮の食堂で、俺を見つけた蓮花がニコニコ笑顔でチョコを目の前に・・・
周りにいた学生達はこちらを見てくすくすと微笑んでいたり、
「お姫様の告白だ」と、ひやかしを言っている。
(愛情って言葉、一体何処で覚えたんだ?こいつ・・・)
そう思った俺は、内心頭を抱えた。
「あのな、蓮。そういうものはもっとこっそりと渡す物なんだぞ?」
どうして?と、首をかしげる彼女に、俺のバレンタインのセオリーを話しても理解は出来ないだろう。きっと・・・
サンキュといってチョコレートを受け取る。
ちなみにこのチョコ、昨日クラブの皆にあげるからと言って一緒に作ったチョコの1つだ。
(バレンタインデーか・・・)
俺は蓮花に貰ったチョコを見ながら少しだけ昔のことを思い出した・・・
「はい、風樹。貴方のチョコレートね?」
当時、幼稚園生だった俺の手に小さなハート型のチョコを数個手にのせて、姉貴はにっこりと笑う。
そして次に飛び切りの笑顔で、まだ婚約者だった蓮花の父親である那月に
可愛くラッピングされた袋を手渡した。
それが何だか悔しくて、その日一日喋らない・・・ということがあった。
今だからいえるけれど、俺の初恋は風花姉貴だったから・・・
周りの大人はみんな訳が分からなくて戸惑っている中、那月だけはそのことに気がついていたらしい。
「風樹、ちょっといいか~?」
拗ねて縁側に座っていた俺の隣に那月は座った。
「・・・・・・」
「なんだ?いつものお前らしくないじゃん」
「那月なんかにオレの気持ち、わかるかよっ!」
涙目で睨む俺を、彼はやれやれとため息をつく。
「そんなんじゃ俺になにかあったら、風花をお前に頼めないよなぁ」
その言葉に思わずびっくりする俺に、当然だろ?と彼は微笑んだ。
「風花を守れるのは俺と・・・風樹、お前しかいないんだぜ?」
そういわれて涙を拭く俺を見て、那月は頭を撫でながらニッと笑う。
「二人で風花を守ろうぜ?」
「・・・うん。オレ、もっと強くなるよっ」
(あの頃はほんと、ガキだったよなぁ・・・)
今は他界した親父の次に信頼できる、兄貴分の彼の顔を思い出しながらふっと微笑んだ。
そして・・・今年も例年通り姉貴からチョコレートが届いた。
その手紙の角に一行だけ、彼が書いていたその文章が
【今年は風樹のチョコのほうが大きいぞ?ちょっとあの頃のお前の気持ちが理解できたよ(笑)】
よし、勝った!と、思わずガッツポーズした俺がいたのは、言うまでもない・・・